Shikaology

スガシカオの音楽に関して書き連ねています。

2020年2月26日『第3回 かけすぎジャンボリー』

スガシカオさん、デビュー23周年、おめでとうございます!
 前回記事を書いてから4年経ってしまった。その間『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』という『The Last』とは毛色の違うけれども素晴らしいアルバムがあったたが、それについてはまたいずれ。

 2月26日、『第3回 かけすぎジャンボリー』に参加した。ポルノグラフィティ岡野さんがゲストで2曲をデュエット、その後岡野さんソロ、かけすぎ部総会、HITORI SUGAR〜FUTARI SUGAR〜一部ファミシュガーの演奏を堪能した。

 森俊之さん、沼澤尚さんと一緒のステージに立っているのを観るのは、14年ぶりくらい? The Family Sugarの再生を期待していた部分はあるが、、演奏自体はあの頃とは全く違っていた。若さからくる荒々しさではなく、50代の落ち着きと瑞々しさに溢れていた。「再生」を期待していた自分が恥ずかしい。バンドってそういうもんじゃないよな。
 なんと言ってもスガシカオの声! 少し掠れた声がセクシー・・・と思っていたが、そこに新たな魅力が加わっていた。タバコをお止めになったことも影響しているのだと思うが、ハスキーなのに太くて深い声になっていた。「脂が乗ってる」ってこういうことなのか。
 2016年以降も、2017年の『スガフェス』、『20th Anniversary Special "Suga Shikao Asia Circuit 2017" in Tokyo』、2019年『SUGA SHIKAO TOUR 2019』も観ているのだけど、これだけ声を生々しくリアルに感じたのは初めてだった。アコースティック・セットだったことや前から5列目だったことが影響しているにしても、この声は本物。あと30年は他の追随を許さないのではないか。
 24年目の突入として素晴らしいステージだった。
 『ACOUSTIC SOUL 2』とともに、次のライヴを楽しみにしたい。

《セットリスト》

  1. オー!リバル(スガシカオ岡野昭仁
    ハネウマライダースガシカオ岡野昭仁
    瞳の奥をのぞかせて岡野昭仁
    ギフト(岡野昭仁
    労働なんかしないで 光合成だけで生きたい(スガシカオ
    Progress(スガシカオ
    発芽(スガシカオ&森俊之
    ストライドスガシカオ森俊之沼澤尚
    ヤグルトさんの唄(スガシカオ森俊之沼澤尚
    コノユビトマレ(スガシカオ森俊之沼澤尚
    19才(スガシカオ森俊之沼澤尚
    ストーリー(スガシカオ森俊之沼澤尚
    黄金の月(スガシカオ岡野昭仁森俊之沼澤尚
    アシンメトリースガシカオ

シカオ学

スガシカオ デビュー19周年!

めでたいっ!

 

 しかも最新アルバム『The Last』が本当に久々(と言っていいでしょう)の大大大傑作!

「あの」スガシカオなのに全く新しいスガシカオ

「久しぶり」なのに「初めまして」。

 生きていて本当に良かった! ありがとう、ありがとう、ありがとうっ!!!

 

・・・ビックリマーク連続でさぞテンション高い奴だと思われるでしょうが、実はそうでもないのです。

************************************************************************************************************

 スガシカオの音楽のおかげで生き存えていられた時期がある。正確には1998年から2002年の5年間。息をしているだけにはなりたくないと思いながら、生きているとはとても言えない時間。スガシカオの音楽だけが、重さはないのにリアルに手で触れられるモノとして、自分と現実をつないでくれている唯一のモノとしてそこに流れていた。

 あれからもう十数年が経とうとしている。社会に出て、結婚をして、子が生まれて・・・。自分を取り巻く状況は変わり、自分も状況に合わせて成長したように感じていた。

 あの頃のスガシカオの音楽を今でも聴く。懐かしく思うこともあるし、「あの頃は何をそんなに塞いでたんだろう。もう少し上手くやれていただろうに」なんて思ったりもする。あの時の感情が呼び覚まされて少し胸がザワつくこともあるけれど、「それはそれ」として日常生活を送ることに苦労はしない。

 ・・・はずだった。

 

『The Last』

なんて危険な音なんだ。

 

 今の自分は「本当の自分」なんだろうか。周囲からみたら「幸せな状況」なのは良くわかっている。でも死まで続くこの一本道を、このまま歩いていていいのだろうか。

 

「成長した」と思っていたのは全くの幻想だった。ただ周囲の状況が変っただけで、自分はあの「踊り場」から一歩も動けていなかった。どこかで見たことがある光景だと思ったら、お釈迦様の手のひらの上ではしゃいでいた孫悟空だ。圧倒的な絶望。

 

 現実との距離感を見失いかける。

 暗黒面に吸い込まれそうになる。

 

 でも、あの頃と違っていることが確かにある。その存在を接点に、現実と繋がっていられる気がする。

************************************************************************************************************

 新しいアルバムを聴いて、ここまで感情を揺さぶられるとは思っていなかった。スガシカオの音楽の破壊力を甘く見ていたわけではなく、自分への見積もりが甘かった。

 そんなスガシカオの音楽に敬意と畏怖の念を抱きつつ、コトバを紡いでいこうと思う。